ミツバのバイク用ドラレコがまともに動かなくて長く往生した話 (4)
(前回)
クソ忙しくて,前回からさらに空いてしまいました。
ちゃんと動かなかった原因はリアカメラの初期不良でした。
先に結論を書くと,EDR-21Gαがちゃんと動かなかった原因(具体的には,ボタンを押しても WiFi モードに切りからない原因)はリアカメラの初期不良でした。EDR-21GαはカメラやGPSに異常があると,WiFiモードには切り替わらず,いかなる設定もできなくなる「仕様」なのだそうです。
ブログ主は諸症状から以下の仮説を立てていました。
- 仮説1: ボタンが壊れているのでは?
- 仮説2: リアカメラが壊れているのでは?
仮説1ははずれ,仮説2はあたり。
サポートは
と言っていました(客相手だから言葉はもちろん丁寧です)。
ブログ主は
- 時刻非同期状態での録画から時刻同期状態での録画にLEDの表示が変わるのでGPS は生きているのでは。
- 折れたピンは実際に使用されていないピンなのでは。(GPSコネクタは4ピンだけど,GPSは3ピンで足りるし,4ピンにしてるのは誤接続防止というヨミ。)
- カメラの初期不良じゃないのか。
と言っていたのですが,サポートは本体を買い直す以外の助言はできない・・・と。
下で述べますが,検証の結果,ブログ主のこの主張はあたっていたようです。なんでメーカがGPSのピンの機能を把握していないの? 小一時間,問い詰めたいです。メーカの言う通り,本体を買い直していたら 18,480 円余計に出費するところでした。しかも,壊れていたのはリアカメラなので,本体を買い直しても直らないし。
折れたピンをお手当てする。
GPS のピンは折れていましたが,ピンの残骸は残っていました。この残骸に電気的な接触さえ作り出せばよいのです。ということで,以下の図のような細工をしました。
電気的な接触を作り出す金具ですが,アキシャル抵抗の線をちょっと切って,線の端っこを曲げて叩いて少し平らにしました。(抵抗本体は使いません。ちょうどいい太さの針金が欲しいだけです。)アキシャル抵抗,製品では最近はめっきり見なくなりましたね。試作か趣味か,学校の演習で使われるぐらいでしょうか。
カチンときたけん,網羅試験する。
取扱説明書を読んでも,EDR-21Gα の『仕様』とやらがよくわかりません。正月明け,GPSを受信できるバルコニに,キャンプ用の机を出して,実験用電源を置いて,EDR-21Gαの挙動を調べました。電源は別にバッテリでもよいのですが,実験用電源だと本体に流れている電流が計測できて便利です。本体が再起動するときに数mAまで電流が下がるので,電流計を見ていればいつ再起動したかがわかります。
GPSやカメラの接続を変えて,以下の14条件で挙動を調べました。初期不良の証拠として出せるよう検証の過程はすべて録画しました。
条件 | GPS | フロントカメラ | リアカメラ |
---|---|---|---|
① | なし | なし | なし |
② | なし | カメラ① | なし |
③ | なし | カメラ① | カメラ② |
④ | なし | なし | カメラ② |
⑤ | なし | なし | カメラ① |
⑥ | なし | カメラ② | なし |
⑦ | なし | カメラ② | カメラ① |
⑧ | あり | なし | なし |
⑨ | あり | カメラ① | なし |
⑩ | あり | カメラ① | カメラ② |
⑪ | あり | なし | カメラ② |
⑫ | あり | なし | カメラ① |
⑬ | あり | カメラ② | カメラ① |
⑭ | あり | カメラ② | なし |
冗長ですが,それぞれの結果を下に書きます。EDR-21Gαがちゃんと動かなくて,困っている人はご参考に。
条件①: 青LEDがピッピッピッ。その後,赤LEDがピピッピピッピピッ(リアカメラ異常)を2回繰り返し。その後,赤LEDがピピッピピッ(フロントカメラ異常)を2回繰り返し。その後,再起動。これを延々繰り返します。録画は一切されません。どちらのカメラもつないでいないのでフロントカメラ,リアカメラ異常の報告は妥当。でも,GPSが繋がれていないのに,GPS異常の報告は出ないのです。謎。
条件②: 青LEDがピッピッピッ。その後,赤LEDがピピッピピッピピッ(リアカメラ異常)を延々繰り返し。再起動はされません。このときフロントカメラの録画に成功します。リアカメラをつないでいないのでリアカメラ異常の報告は妥当。でも,GPSを繋いでいないのに,GPS異常の報告が出ないのは謎。
条件③: 青LEDがピッピッピッ。その後,赤LEDがピピッピピッピピッピピッ(GPS異常)を2回繰り返し。その後,赤LEDがピピッピピッ(フロントカメラ異常)を2回繰り返し。その後,再起動。これを延々繰り返します。録画はされません。GPSは繋いでいないので,GPS異常の報告は妥当。フロントカメラ異常は理由がわかりません。
さらに別のパターンも。青LEDがピッピッピッ。その後,赤LEDがピピッピピッピピッピピッ(GPS異常)を延々繰り返し。再起動はされません。録画もされません。GPSを繋いでいないので,GPS異常の報告は妥当。取扱説明書では,GPS異常だけの場合は位置情報なしで録画はするように書かれているのに,録画はされておらず,取説の通りとはなっていません。
そもそも同じ条件で異なる挙動というのは非常に不審です。再現性がない振舞いは,ソフトウェア技術者が一番悶絶するところですわ。
条件④: 青LEDがピッピッピッ。その後,赤LEDがピピッピピッピピッピピッピピッピピッ(不明)を1回。その後,赤LEDがピピッピピッ(フロントカメラ異常)を2回繰り返し。その後,再起動。これを延々繰り返します。録画はされません。
不明の赤LED点滅はピピッピピッピピッ(リアカメラ異常)の2回分かもしれません。その場合,カメラ②に異常があることになります。(実際,カメラ②がおかしかったです。)そうだとしても,前後の区別なくエラーが連続してレポートされるって困ります。
フロントカメラ異常の報告はフロントカメラをつないでいないので妥当。GPSを繋いでいないのに,GPS異常の報告は出ません。
条件⑤: 調べるの忘れてました ^^;
条件⑥: 青LEDがピッピッピッ。その後,赤LEDがピピッピピッピピッ(リアカメラ異常)を2回。その後,赤LEDがピピッピピッ(フロントカメラ異常)を2回。その後,赤LEDがピピッ(不明)を1回。その後,再起動。これを延々繰り返します。録画はされません。
フロントカメラ異常の報告はカメラ②に異常があることを意味します。リアカメラ異常の報告はリアカメラは接続していないので妥当。最後の赤LEDのピピッは取扱説明書に記載なし。GPS を繋いでいないのに,GPS異常の報告は出ません。
カメラ②の初期不良の線が濃厚になってきました。
条件⑦: 青LEDがピッピッピッ。その後,赤LEDがピピッピピッピピッピピッピピッを1回。その後,赤LEDがピピッピピッ(フロントカメラ異常)を1回。その後,再起動。これを延々繰り返します。録画はされません。
これまた最初の赤LEDは何のエラーなのか取扱説明書に説明がありません。GPS を繋いでいないのに,GPS異常の報告は出ません。
やはりフロントカメラ異常を報告しており,条件⑥同様,カメラ②の初期不良の疑いが一層濃厚に。
条件⑧: 青LEDがピッピッピッ。その後,赤LEDがピピッピピッピピッ(リアカメラ異常)を2回,その後,赤LEDがピピッピピッ(フロントカメラ異常)を2回。その後,再起動。これを延々繰り返します。録画はされません。フロントカメラもリアカメラもつないでいないので,この挙動は妥当です。
条件⑨: 青LEDがピッピッピッ。その後,赤LEDがピピッピピッピピッ(リアカメラ異常)を延々繰り返します。再起動はされません。リアカメラをつないでいないので,この挙動は妥当です。
また,フロントカメラ画像が録画されます。
条件⑩: 意味不明のLED表示がされ,その後,青LEDが連続点灯。再起動はされません。
青LEDの連続点灯は,時刻同期された状態で常時録画をしていることを意味するのですが,録画はされていません。録画できていないのに,録画できているとユーザに誤った報告をしています。これってバグとしか思えません。
条件⑪: 青LEDがピッピッピッ。青LEDが一瞬連続点灯した後,赤LEDがピピッピピッ(フロントカメラ異常)を3回。その後,再起動。これを延々繰り返します。録画はされません。フロントカメラをつないでいないので,フロントカメラ異常の報告は妥当。ただ,カメラ②が初期不良だったとしたら(実際にそうだったのですが),どうしてリアカメラ異常の報告を出さないのかという話になります。
条件⑫: 条件⑪と全く同じ振舞いです。フロントカメラをつないでいないので,フロントカメラ異常の報告は妥当。
条件⑬: 条件⑪と全く同じ振舞いです。フロントカメラはつないでいますが,カメラ②が初期不良だとしたら,フロントカメラ異常の報告は妥当。カメラ②の初期不良の疑いがさらに一層濃厚に。
条件⑭: 青LEDがピッピッピッ。その後,赤LEDがピピッピピッピピッ(リアカメラ異常)を1回,ピピッピピッピピッピピッピピッ(不明のエラー)を1回,ピピッピピッ(フロントカメラ異常)を2回。その後,再起動。これを延々繰り返します。録画はされません。カメラ②が初期不良だとしたら,フロントカメラ異常の報告は妥当。リアカメラをつないでいないので,リアカメラ異常の報告も妥当。
さらに別のパターンも。青LEDがピッピッピッ。その後,赤LEDがピピッピピッピピッ(リアカメラ異常)を1回,ピピッピピッピピッピピッ(GPS異常)を1回,ピピッピピッ(フロントカメラ異常)を2回。その後,再起動。これを延々繰り返します。録画はされません。
同じ条件で異なる振舞いというのは気持ちが悪いです。
網羅試験の結果,わかったこと。
条件②と条件⑥,条件⑨と条件⑭の結果を比較すると,カメラ②の初期不良の疑いが極めて濃厚です。
また,このドラレコは,リアカメラが死んでいてもフロントカメラが生きているときはフロントカメラだけでも録画を続けようとするようです。ですが,逆の場合(フロントカメラが死んでいてもリアカメラが生きているとき)にはリアカメラだけでも録画をしようとはしないようです。どうしてこんな仕様にしているのかわかりません。
異常時のエラー報告に関する振舞いも一貫性がないようです。GPSをつないでいないときにGPSの異常を報告したりしなかったり。
その後のサポートは迅速だった。
リアカメラがおかしいのではと網羅試験の結果と録画を送ったところ,サポート側も「リアカメラがおかしいようです。」と認めて交換品を送ってくれることになりました。交換品と引き換えに,初期不良のカメラを着払いで送ります。
初期不良のカメラの返送を求められなかったら,「なんで原因究明しないんだ!」と呆れかえるところでした。さすがにそれはなかったので,ちょっと安心しました。
開発プロセス,大丈夫?
なんか,上流工程をまともにやってるのか不安な製品です。ちゃんと仕様,特に異常系の仕様を定義しているのでしょうか。FMEAもしてるのかな。分析,設計フェーズすっ飛ばして,いきなりコードを書いてるんじゃないのかな・・・と疑惑の目で見てしまう挙動です。
ミツバさんのドラレコは,1カメラモデル,GPSなしモデル,そしてこのモデル・・・と製品バリエーションが増えていってるのですが,場当たりでコードを書き足し,書き変えするようなやり方で製品開発してるんじゃないか,だから異常系の振舞いに一貫性がないんじゃないかと。
中の人ではないのですべて憶測なのですが。
ログを録ってよ!
この製品はインターフェースが赤,青,2色のLEDと WiFi 接続するスマホアプリくらいです。そして,カメラやGPSに障害があれば,スマホアプリの接続を許さない謎仕様になっています。障害の内容を知る手段はLEDに限られがちです。そして上述の通り,そのつくりがあやしい。
ちゃんと動かないときにトラブルシューティングをするのは,技術的な水準がバラバラなエンドユーザです。そんなエンドユーザが「言葉」で障害の内容をサポートに伝える訳です。的外れなことをやって的外れなことを言うユーザも少なくないのではないかと思います。
ドラレコですから大容量のSDメモリを積んでいて,ログをいくらでも残せる,組込みシステムとしては恵まれた環境です。どうして異常時のログを録ってくれないのかと。システムの内部状態をログに録っていれば,それをユーザに送ってもらう,あるいはスマホアプリからサーバに転送させることで格段に効率的なサポートができるのに! ユーザとサポートの間の不毛な対立もなくなりお互いハッピーになりますね。
(つづく)
ミツバのバイク用ドラレコがまともに動かなくて長く往生した話 (3)
(前回)
ちょっと仕事が忙しくて,日が空いてしまいました。
今回からミツバのバイク用ドラレコ,EDR-21Gαを取り付けたはいいけど,ちゃんと動かなかった人向けの記事です。
観測された障害
ブログ主の取り付けた EDR-21Gα の症状は以下のようなものでした。
- ボタン操作を全く受け付けず,本体が WiFi 接続モードに変わらない。そのため,設定用スマホアプリ Moto DR を本体に接続できず,フロント/リアのカメラの位置合わせ,SDメモリのフォーマットなどが一切できない状況。
- 青色LEDが常時点灯状態なのに録画が全くされていない。なお,EDR-21Gα で青色LED常時点灯は,GPSの信号を拾って時刻の同期がなされた状態で,カメラの録画が問題なくされていることを意味します。
- 偶発的に撮れた動画があるようで,SDメモリにいくつか動画が残っている。偶発的に撮れた動画はフロントカメラのもののみで,リアカメラのものはまったくない。
- 偶発的に撮れた動画は本体の動作確認作業をしているときのもので,走行中は全く撮れていない。
- 偶発的に WiFi 接続モードになったことがある。そのときスマホアプリでフロントカメラとリアカメラの映像を見ようとしたが,ちゃんと見れたのはフロントカメラのみだった。
この時点で,ブログ主は以下の仮説を立てました。
- 仮説1: ボタンが壊れているのでは? ボタンを押しても押下信号が本体に伝わらず,そのため WiFi 接続モードに変わらない。
- 仮説2: リアカメラが壊れているのでは? リアカメラが壊れているから,偶発的に撮れた動画はフロントカメラのみになってたり,スマホアプリで見られた動画もフロントカメラのもののみになっている。
GPSのコネクタのピンが折れていた。
色々配線をつなぎ直して動作確認をしている間にGPSのコネクタのピンを折ってしまいました。GPS側のコネクタではなく本体側のコネクタです。これは全くもってブログ主のミスです。
冬至の近づく時節,日が暮れるのも早く,暗いところで焦って作業をしていたのが敗因です。暗かったので,ちょっと斜めな感じにコネクタの縁をあわせてから,コネクタをまっすぐ挿し込んだときに,どうもピンが穴のないところにあたって折れてしまったようです。ピンは細いし,ピンを受ける穴はあまりマージンがないのです。
サポートに聞いてみたけど。
二進も三進も行かないのでサポートにメールをしました。やり取りの中で空中戦になりそうになったので,取付けの状況と写真,症状を丁寧にワードにまとめたりもしました。
サポートが言うことを要約すると:
- GPSのコネクタのピンが破損している。(いや,それは私が最初から言ってたじゃん。)
- スイッチのボタン操作を受け付けなかったり,正常に動作しなかったりする症状はピンの破損が影響している「可能性」がある。
- 破損しているコネクタは本体側なので本体を交換する必要がある。
ということでした。で,本体を交換するといくらするのかと言うと,18,480円もします。ピンが折れただけで 18,480円。
動作不良の原因が断定されず,「可能性」ってどういうことなんでしょうか。正常に動作しない原因がGPSのピン折れじゃなかった場合でも,ブログ主は 18,480円を被らなきゃいけないのでしょうか。
納得のいかないことだらけ。
現状でも,LED の表示が時刻未取得で録画状態(青色LED点滅)から時刻取得済で録画状態(青色LED常時点灯)に変化しています・・・ということは,GPSのピンは折れていても GPS の信号を受信できているはずです。
この製品のGPS のコネクタは4ピンありますが,通常 GPS のデバイスは3ピンで十分だったりします。電源,GND,NMEA形式の測位情報を送る信号線(TX)の3本ですね。コンマ0秒のときにパルスを立てるPPS信号,GPSに設定コマンドを送る信号(RX)がついているケースもありますが,ドラレコではなくてもよい信号です。ピン3本の他のコネクタ(EDR-21Gαの場合,電源コネクタ)と誤接続を防止するために,あえてピン4本のコネクタを使っていて,折れたのはその冗長なピンだったのではないかと。
録画できていないのにLEDが録画状態を報告することだって,ユーザに偽りの報告をしているのだから製品のバグとしか思えません。ちゃんと動いていないのにちゃんと動いていると誤報告するのは,その逆(ちゃんと動いているのにちゃんと動いていないと誤報告する)よりも罪深いです。
録画が偶発的にされることだってなぜだか分かりません。
GPSのピン折れがスイッチ操作を受け付けない技術的理由を説明してほしいと言ったところ,カメラやGPSアンテナに異常が発生している場合は本体の「仕様」によりスイッチ操作を受け付けなくなるとのこと。
うーん,ひどい仕様です。ユーザインターフェースが無愛想なLEDとスマホアプリしかないのですから,せめてスイッチ操作を受け付けて,スマホアプリの接続を許して動作確認できるようにすべきでは。それに,GPSの故障を認識したらスイッチ入力は受け付けない・・・ということなら,すでにドラレコはGPSの故障を認識できてる訳ですから,その時点でLEDでGPSの故障をレポートすればいいではないですか。そこをなんで録画できてるってウソ報告するの?
徹底抗戦しちゃる!
動作検証のための本体の貸し出しがあるのか聞いたのですが,それはないとのこと。しかも,「施工上の不注意によりピンを折ってしまったのだから本体を買い直して確認してください。」みたいなことを言われ,ここでカチンと来て,いったんは引っ込んだものの徹底抗戦に腹をくくりました。本体高いし。
次回は動作不良の原因究明のやり方を説明します。
(つづく)
ミツバのバイク用ドラレコがまともに動かなくて長く往生した話 (2)
(前回)
ミツバのバイク用ドラレコ EDR-21Gα。取付けが終われば,さっそく設定&試運転をしてみましょう。
正しいフォーマットのSD メモリを用意する。
まずSDメモリもクラス10のものを。ドラレコ対応を謳っているものが無難でしょう。ブログ主が買った下記のSDメモリはちゃんと動きました。
SDメモリをドラレコにセットします。SDメモリはFAT形式で,アロケーションユニットが64KBとなるようにフォーマットされていなければなりません。本体に付属のSDメモリはそのフォーマットになっているはずですが,容量が32GBしかありません。
もっと大きな容量のSDメモリを使いたい場合,自分でその通りフォーマットする必要がありますが,Windows 11 の場合,容量によっては FAT 形式が選択できず,exFAT 形式しか選択できなかったりします。その場合の対応は以下の記事に書いています。
フォーマット形式があっていないと録画してくれません。まずはここを確実に!
スマホアプリをインストールして WiFi でドラレコに接続する。
EDR-21Gαの設定にはスマホアプリが必要です。「Moto DR」というアプリをインストールしないといけません。iPhone 用も Android 用もあります。
apps.apple.com play.google.comスマホアプリによる設定は以下の動画の通りです。
バイクのキーをONにすると,EDR-21Gαが起動し,初期化処理が始まります。初期化処理の間,青色LEDが1Hz周期で点滅します。青色LEDの点滅がいったん止み,またしばらくして青色LEDが1Hz周期で点滅するようでしたら,初期化処理でコケています。カメラやGPS,SDメモリに異常があると初期化処理を繰り返します。
初期化処理が無事終了すると,スマホアプリをEDR-21Gαに接続できるようになります。ボタンを長押しすると,EDR-21Gαはスマホアプリからの WiFi 接続を待ち受ける状態となります。このとき青色LEDがピピッ,ピピッと点滅しています。EDR-21Gαは「MotoDR◯◯◯」という名前のWiFiアクセスポイントになっていますので,スマホをそこに WiFi 接続します。パスワードはデフォルトで「12345678」です。
スマホアプリで最初にすべきことは,カメラの回転方向の向きの調整です。前後のカメラについて,ステーのネジを緩め,スマホアプリ内で映像を確認しながらカメラを回転させて向きを整え,最後にステーのネジを締めます。
その他,録画の際の解像度を設定したり,SDメモリをドラレコ用にフォーマットしたりが可能です。
すべての設定が終われば,ボタンを普通にワンプッシュすると,EDR-21Gα は録画を始めます。
初期化処理中に何か問題があった場合,赤色LEDでエラー表示がされます。エラーがある場合,スマホアプリへの接続はできない仕様のようです。そしてドラレコで何が起こっているのかは LED の点滅を見るよりありません。ユーザ側でできるトラブルシューティングは思いっきり制限されます。この辺の異常系のつくりが EDR-21Gα は最悪のデキなのです。こうなってしまったときの話は次回以降に書いていきます。
録画しながら走ってみる。
雨天や夜間といった悪い条件下で走って録画してみました。
動画に雨滴がついたり,ヘッドライトで白飛びしたりと不満はあるのですが,バイクのドラレコはクルマのドラレコより格段に条件が悪いです。カメラは雨に曝される外に設置されますし,カメラの高さもおおよそクルマのヘッドライトの高さと同じぐらいになってしまいます。こうしたことを考えれば,仕方がないし,まあこんなもんなのかなと思います。
PCアプリ
EDR-21Gα は動画を mp4 形式でSDメモリに録画します。
上述のスマホアプリで録画を見たり,スマホにダウンロードしたりが可能ですが,面倒ですしダウンロードに時間がかかります。
動画を見たければ,キーを OFF にした後にSDメモリを抜き取り,PCで見るほうが現実的です。SDメモリを抜き取りやすくするためにも,マグネットシートを使って取付けをしたほうがよいのです。
SDメモリに記録されている mp4 ファイルをそのまま見てもよいのですが,ミツバがユーザ向けに公開している「Moto DR Player」というビュワを使うと,フロント,リア両方の画像を同時に視聴できたり,車速,走行中の場所やバイクのサージ,スウェイ,ヒーブの加速度が視覚化されたりしていて便利です。スマホアプリは正直微妙なデキなのに対して,PCアプリはデキがよいです。
EDR-21Gα を持っていなくても,Moto DR Player はダウンロードして試せます。お試し用のファイルセットを置いておきました。
上のリンクから zip ファイルをダウンロードし,zip ファイルを展開します。Moto DR Player を起動し,「ファイル」の下の「データフォルダ読み込み」のメニューを選択。zip ファイルを展開したフォルダの中にある,「EDR_MotoDR」のフォルダを選択します。
なお,デッドレコニングはやってくれず,GPSが入らないトンネル内では緯度・経度は再現されません。
緯度,経度や加速度の情報は mp4 ファイルに埋め込まれているのではないかと思います。いずれフォーマットを解析して,Python のスクリプトで抜き出そうと思っているのですが,ちょっと今,忙しいのでいつになることやら。
Moto DR Player の動画も置いておきました。
次回は運悪くドラレコがちゃんと動かなかった人向けに記事を書きます。
(つづく)
ミツバのバイク用ドラレコがまともに動かなくて長く往生した話 (1)
ミツバのバイク用ドラレコを買ったのだけど・・・
ジクサー150に取り付けようと,ミツバのバイク用ドラレコ,EDR-21Gαを昨年11月に購入しました。あきばお~で税込 33,264 円しました。バイク用の電子製品は,市場規模が小さかったり,クルマ以上にシビアな環境で使われたりで高くなりがちですが,やっぱりなかなかのお値段です。
Amazon では星が4以上の好評価ですが,ブログ主は色んな意味で星1個にしたい製品です。
取り付けてサクッと動いた購買者には,そりゃ素敵な製品だったのでしょう。ブログ主の場合,11月に購入して取り付けて,使えるようになったのは1月中旬になってから。こんなに時間がかかっているのは,すったもんだがあったからです。
車載機器は取り付ける前に部屋の中でテストすべし。
ドラレコが届けば,モノを買った高揚感からすぐに取り付けて使ってみたくなるもの。でも,ドラレコのような車載電子機器は,いきなりバイクやクルマに取り付けず,まずは部屋の中でバッテリか実験用電源につないでちゃんと動くか試験するべきです。製品に初期不良があった場合など,車載状態のままだとトラブルシューティングが面倒だからです。屋外なので暑かったり,寒かったり,狭かったり,日が暮れて暗くなったり,近所の人に不審に思われたり,部品や工具が迷子になったり,計測機器が十分に使えなかったり。
今回学んだことですが,これを最初にやっていれば,こんなに時間を無駄にすることはなかったです。
ドラレコの取付
本体はタンデムシート下の工具セットトレーに収納しています。元々,ここにあった工具セットと車検証入れはホームセンターで買ったベルトポーチに入れてリアキャリアに吊っています。
工具セットトレーは深みがあり,製品付属の両面テープでドラレコ本体を固定してしまうと,側面のスロットにあるSDメモリの抜き差しができなくなってしまいます。ホームセンターでスチール製のジョイント金具を買ってきて工具セットトレーに自動車の外装用の両面テープで貼り付け,ドラレコにはマグネットシートを貼り付け,磁力で着脱可能なかたちで固定するようにしています。工具セットを固定していたゴムバンドは外してしまいました。また,工具セットトレーに埋めてあった OBD2 端子は工具セットトレーの横から出すようにしています。整備等で工具セットトレーを外す必要があるときはジョイント金具を取り外します。自動車の外装用の両面テープはとても硬くくっつきますが,きれいに剥がすことができます。
【注意】工具セットトレーとカウルの隙間に,ネジやプッシュリベット,SDメモリ,SDメモリの蓋などを落としやすく,落とすと見つけたり,取り出したりが大変です。カウルを外したり緩めたりしないといけません。一度,SDメモリを落として見つからず,ファイバスコープで探し回りました。SDメモリの取り外しはしっかり指で押さえ続けないと,バネの力で飛び出してきますので注意が必要です。
フロントカメラはヘッドライトの下に,リアカメラはナンバ灯の上に設置しています。取り付けるときはいったんカメラをステーから取り外し,両面テープでステーだけを取り付けます。そうしたほうがステーをまっすぐ取り付けやすいです。その後,カメラをステーに取り付けます。あとでスマホアプリで確認しながら,カメラの回転方向を調整しないといけません。カメラをネジでしっかり固定するのはそのときでよいです。
押しボタン/LED表示器はタンクに取り付けました。ドラレコにスマホアプリをWiFi接続するときとエラー表示を見るときぐらいにしか使いません。このエラー表示がなかなかイケてないのですが,その話は後日。
GPSはミラーステーの下に市販のステーを取り付け,そこに両面テープで固定しています。
使っているステーは Daytona さんのドライブレコーダのカメラ用ステーです。こんな鉄板を打ち抜いて色を塗っただけのものが1100円。高い・・・。フライス盤を持っている人,アルミ板を切り抜く根気と時間のある人は自分で作ってもよいでしょう。
電源はバッテリからのプラス(+B)とマイナス(GND)に加え,キーに連動するアクセサリ電源(ACC)が必要です。アクセサリ電源は下記の電源取り出しハーネスを使って,尾灯の配線からもらってきています。このハーネスを本体と尾灯のコネクタの間に割り込ませるだけです。
アクセサリ電源はスマホ充電器やETCにも使います。尾灯への電源供給では容量が足りるか心配なので,間にリレーを入れます。
以下は実体配線図。
【追記 2024.01.30】ヒューズを描き忘れていたので修正しました。
ケーブルやコネクタの収納はちょっと苦労をします。シートの下はこのドラレコ,ETC,スマホ充電器,電熱ウェア/グローブ,リレーの配線でぐちゃぐちゃになっています。コネクタもちょっと大きくてごついです。ケーブルを遠回りして車体に這わせ,シートの下にはコネクタ接続の作業性を損なわない程度の長さだけになるようにするのがコツです。
ケーブルの固定は電気工事用の結束バンドやタイベースを使用しています。GPS,スイッチ,フロントカメラのケーブルはコルゲートチューブで束ねて,自己粘着テープで縛って保護しています。
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断線のリスクがあがるので,ケーブルを這わすときはRを取り,結束バンドでガチガチに縛ったりしてはいけません。また,シートでコネクタやケーブルを押しつぶしたりしないようにも注意。シートは思ったより下に出っ張っています。
コネクタのピン折れに注意!
オスのコネクタのピンが細く折れやすいです。さらにオスとメスのコネクタのコンタクト金具のクリアランスがかなりタイトになっています。オスとメスのコネクタを接続するときに,コネクタが斜めになっているとピンが当たり,そのまま挿し込むとピンが折れてしまいます。コネクタはまっすぐ抜き挿ししないといけません。
ピンを折ってしまうと,ただピンを折っただけなのに,もっとも値段のする本体の買い換えになってしまいます。オスのコネクタは本体のほうについているからです。普通はオスのコネクタって,接触による短絡を避けるために電源供給を受ける側に使うんですけどね・・・。本体のコネクタについては,バッテリにつなぐケーブルにはオス,その他にはメスを使うべきやろうと。
ブログ主はこれでGPSのピンを1本折ってしまい,これもまた運用までに途方もない時間がかかる原因となってしまいました。
コネクタが見づらい暗いところで手探りで作業するのはやめましょう。
取付けの話は以上です。稿が長くなったので改めます。ちゃんと動かなかった場合の対応などは次々回以降に。
(つづく)
RSタイチの電熱ウェア/グローブを改めて直してみる。
2週間ほど前に,RSタイチの電熱ウェア/グローブの配線がダメになったので直していました。それに関する続報というか,アフターケアというか・・・。
グッドニュースとバッドニュースがあります。
DC-DC コンバータは服の中に入れても大丈夫!
製品には,バイクのバッテリ電圧(13.2V)を電熱ウェア/グローブの電圧(7.2V)に下げる DC-DC コンバータがついていたのですが,これが断線で使えなくなってしまったので,ちょっとごついけど中国製の DC-DC コンバータに換装しました。
服の中に入れて熱がこもって故障してしまうことを恐れ,写真のように服の外にぶら下げていたのですが,やっぱりダサいのと,お腹に爆弾巻いてるアブない人に見えなくもありません。
まずは実際の消費電力の計測。電源電圧が12Vのとき,電熱ウェア/グローブともに,強,中,弱でそれぞれ800mA,550mA,400mA程度の出力,電力だとそれぞれだいたい10W,7W,5W。全部オフにしても 4mA 程度の電流が DC-DC コンバータに流れます。バッテリがあがってしまうので,エンジンをかけない状態でDC-DC コンバータを長時間繋いでおくのはやめたほうがよいです。それを考えれば,DC-DC コンバータは車体側でなく,ウェア側につけたほうがよさそうです。DC-DC コンバータを車体側に置きたいのなら,ACC 連動にすべきですね。
つづいて服の中に DC-DC コンバータを入れても大丈夫か実験です。DC-DC コンバータの表面に温度計測用の熱電対を取り付け,服の中に入れ,チャックを閉じて,電熱ウェア/グローブをフルスロットルに。電圧低下分を熱で飛ばすリニアレギュレータとちがって,スイッチング&平滑で電圧を下げる DC-DC コンバータは,原理上それほど熱を出しません。(相当熱が出るなら,それは設計が悪く,効率の悪い DC-DC コンバータです。)
しばらくつけっぱなしにしていましたが,全然温度はあがりません。30℃もいきませんでした。ということで,結論としては服の中に入れてもまったく問題なし。
今は DC-DC コンバータを服のお腹側に収めています。背中のヒータから遠い,お腹側は走行風があたって外気温が上がりにくい,バイクに乗っているときは前傾姿勢で服のお腹側に空間ができて着心地の問題が出ない・・・以上が理由です。
電熱グローブの防水コネクタはダメだった!
前の修理のときは,電熱グローブのコネクタを,日本圧着端子さんの防水コネクタ,JWPF シリーズに交換していました。
いろいろギリギリで強く推せないと書いていましたが,その通りの結果になってしまいました。やっぱり心線とコンタクトのかしめが甘くなっていたようで心線が抜けてしまいました。決して部品の品質が悪いわけでなく,ブログ主の部品の選択が悪かったことに尽きます。
しかし,よい防水コネクタが見つかりません。もう防水は諦めて普通のDCジャックに変更しました。DCジャックは寸法,定格電圧・電流のちがいでいろいろ種類があるのですが,オリジナルと同じ EIAJ2 と呼ばれるタイプのものを使っています。
この手のジャックは一般にケーブルのハンダ付けがやりにくいです。今回はケーブルがちょっと太いうえに,EIAJ2 のDCジャックが小さくて本当にやりにくいです。どう曲げてもショートしないように施工する必要があります。
防水コネクタでなくなった分,雨の時にケーブルが水に浸からないよう,着付けをしないといけません。一方,抜け止めのツメがなくなったのでグローブをはずすのが楽になりました。防水コネクタはグローブをはずすとき,ツメを押さないといけないのがちょっと面倒でした。
能登の先端
能登半島の先端は禄剛崎と言い,昔,ここから狼煙を上げていたのでしょうか,「狼煙」というすごい名前の地域にあります。岬には灯台があります。金沢からとにかく遠くて,ずっとクルマに乗ってた記憶が・・・。
もう30年近く前の1997年8月2日に訪問していたようです。当時のデジカメの性能の問題か,640x480 画素の写真しか残っていません。
重なる地震で崩落が進んでしまった見附島(あるいは軍艦島)ですが,当時はしっかり形が残っています。
ボラ漁に使われる櫓,ボラ待ち櫓。Wikipedia によれば,1996年を最後に行われておらず,観光用のものが残されているとのことですので,これもすでに観光用のものだったようです。七尾から禄剛崎に行く途中で撮った記憶があります。
ボラはそんなに美味しくないのに,カラスミはとても美味しいのはどういうことかと。
金沢から和倉温泉に行く途中のどこかで撮ったと思しき写真。ちょっと昭和感のある街並みときれいな七夕飾りが気に入って撮ったんだと思うのですが,場所がどこかわかりません。羽咋あたりだと思うのですが,Google ストリートビューで調べてみるとそんなことないし。写真に映っている「興能信用金庫」が手がかりですが,この30年近くに支店はいっぱい畳んでいるでしょうし,特定できません・・・。街の看板がもう少し読めれば,もっと手がかりがありそうなものの,640x480 画素ではほとんど何も読めません。
バイクで通ったらあかんところ《九州・四国版》
昨日作った二輪車通行規制地図《福岡県版》を《九州・四国版》にアップグレードしました。お出かけ前に確認しておけば,迂闊に切符を切られることはありません。
日本二輪車普及安全協会さんの情報をもとにして,Googleストリートビューで道路標識を確認することでウラを取って,地図を作成しています。
たくさんあるのかと思っていましたが,思ったほどなくて,割と短い時間で作れました。九州については,佐賀県,長崎県,熊本県が無菌県,もとい「無禁県」です。これらの県は「うっかり違反」を心配することなく走れます。他の都道府県も,自分が行きそうなところから作っていこうと思いますが,やたら二輪車通行規制が多い都道府県もあって大変そうです。ぼちぼちやります。
地図を作っているうちに走ってみたくなるところが見つかります。そりゃ,珍走団も走りに行くわ・・・と。
鹿児島の薩摩川内の藺牟田池(いむたいけ),徳島の南阿波サンラインに行ってみたいですね。蘭牟田池は同じ鹿児島県の池田湖同様(UMAのイッシーのいるところ),カルデラ湖です。ちょっと遠くて簡単に行けるところではないので,そのうち機会ができたら。