おたくぐさ

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RSタイチの電熱ウェア/グローブを直してみる。

前回

一昨日衣料品としては誉め,昨日電装品としては腐したRSタイチの電熱ウェア/グローブ。

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寒くて修理を待ってられませんし,保証もしてくれるのか怪しいもの。そんなに難しい装置ではないし,自分で修理することにしました。

【お断り】この記事に基づく修理は自己責任でお願いします。ブログ主は一切責任を負いません。モデルチェンジで製品や交換部品の仕様,設計,実装が変わる可能性にご注意ください。

【追記 2024.01.27】この記事で使った電熱グローブ用の防水コネクタは推奨できないものでした。また,電熱ウェアの外にダサくぶら下げているDC-DCコンバータは,電熱ウェアの中に収めても大丈夫なことがわかりました。詳しくは下記の記事で。

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電熱ウェアのケーブルの分岐部の修理

シースが破れて心線が少し見えています。2本ある線のうち,白いラインが入っている方がマイナスとなります。プラス/マイナスを逆接続すると,制御回路が一発で死ぬと思いますので要注意。

修理前のケーブル分岐部

プラスとマイナスの配線をぶった切って心線を剥き出し,電気工事用のスリーブでかしめます。

スリーブによる配線分岐部のかしめ

そのままにしておくと,接触するとショートして火事になりますので,配線とスリーブを自己融着テープで被覆して絶縁します。ちょっと見栄えは悪いですが,外から見えないところですし,シンプルで確実です。

配線分岐部の絶縁

電熱グローブのコネクタの修理

製品についていた防水コネクタをぶった切って,もっと小さな防水コネクタにつけかえます。こちらも2本ある線のうち,白いラインが入っている方がマイナスとなります。プラス/マイナスの逆接続に要注意なのも一緒。

コネクタの老舗,日本圧着端子さんの防水コネクタ,JWPF シリーズの2極を採用。ブリヂストン電動アシスト自転車,スズキのバイクなどで使われているのを見たことがあります。ブログ主も試作でときどきお世話になっています。ケーブルとコネクタの間にはシリコンゴムのパッキン(写真で薄青色の部分)が挟まるようになっており,応力はここで吸収されます。ですので,オリジナルのコネクタのようにケーブルの脆いシースが傷んで心線が剥き出しになることは起きません。

電熱グローブのコネクタの交換

この部品を強く推せるかというと,そうでもありません。電動グローブの電源ケーブルが太く,正直,ギリギリなのです。ケーブルはどうにかパッキンの穴に通せていて,コンタクトの金具はぎりぎりかしめられている感じ。コネクタには爪状のロックがあり,コネクタを外すときはロックを押さえないといけません。オリジナルのコネクタのように力はいりませんが,引っ張るだけでははずれません。

コネクタが短く小さくなった分,コネクタが袖の中に隠れてしまい,それを取り出すのが大変ということが頻繁に起きてしまいます。ブログ主は1mm厚の PET 板でストッパを作ってそれを防いでいます。食パンの袋を止めているアレ(「バッグクロージャ」と呼ぶそうです)でも代用できるかもしれません。

自作のケーブルストッパ

DC-DCコンバータの交換

車載バッテリ接続ケーブルのウェア側についていた,13.2Vを7.2Vに降圧するDC-DCコンバータ。あれほど小さく5Aほど流せる汎用のDC-DCコンバータは見つかりませんでした。仕方がないので,ちょっとでかくなりますが,こちらのDC-DCコンバータを購入。8~35Vの直流を3~24Vの直流に降圧できます。

背面にあるトリマを回して,出力電圧が7.2Vになるように調整します。最初,トリマを回しても電圧がほとんど下がらないので,「もしかして壊れてる?」と思ったのですが,ある点を超えると急に電圧が下がり始めました。もっとリニアに下がらんものか・・・。入力電圧がどう変わっても,トリマで設定した出力電圧を出力します。ですので,エンジン運転中は14V台,停止中は12~13V台とバイクのバッテリの電圧は変わりますが,それを心配する必要はありません。

【追記】トリマを回しても電圧がなかなか下がらない理由。このDC-DCコンバータは入力が8~35V,出力は3~24Vとワイドレンジで,入力電圧に依存せず,トリマで設定した出力電圧を出そうとするタイプです。降圧型で(入力電圧ー2V)以上の出力電圧は出せないので,最初電圧が下がらなかったのは,出力電圧設定が(入力電圧ー2V)以上だったのでしょう。

中華部品アルアルですが,ラベルの表示が正しくありません。入力側と出力側のマイナスが「B(黒色)」,入力側と出力側のプラスが「R(赤色)」とラベルに表示されているのですが,それじゃ入力と出力のプラスが区別できません。メーカのサイトでウラを取りましたが,正しくは入力側のプラスは「R(赤色)」,出力側のプラスは「Y(黄色)」です。

www.droking.com

バッテリ側のコネクタへの接続には,外形5.5mm,内径2.1mmのDCプラグが必要です。DCプラグとしてはもっとも一般的な寸法のものですが,おそらくオリジナルのジャックに嵌合する防水のプラグはないでしょう。やる気があるなら精度の出る光硬化型(SLA式)の3Dプリンタで作れそうですが,ブログ主はダルいのでやってません。気になるなら雨のときは養生テープでも巻いて防水すればよいかと。(これに限らず,バイクに養生テーブルを積んでおくと何かの時に便利です。)

脱線しますが,このコネクタ,クルマのシガーソケットのように,ちょっとした電源取り出しに使えそうです。逆にバッテリを充電するときにも使えます。カウルを開けなくていいので楽ちんです。もちろん取出電流も充電電流もヒューズの定格電流以下でなければなりません。

DC-DCコンバータとDCプラグ

防水ギボシ端子を使ってこれらを接続しています。

DC-DCコンバータを空冷できるよう単語帳のリングを使って電熱ウェアの外に吊っています。ケーブルがちぎれるリスクがあるので,ケーブルでぶら下げておくのはやめたほうがよいでしょう。電熱ウェアと電熱グローブをフルスロットルで使ってみましたが,DC-DCコンバータはほんのり暖かくなっている程度で,それほど熱は出していません。格好がよくないし,服の中に入れてしまって大丈夫か,遠からずテストして報告します。

DC-DCコンバータの固定

いろいろ改造できるのでは・・・

設計次第で DC-DC コンバータなんていらなくなるはずです。回路の定格入力電圧をバッテリ電圧超にして,電熱ウェアの制御マイコンで入力電圧を計測し,それにあわせてヒータのPWM制御のデューティ比を変更するだけです。それで車載のバッテリを使おうが,携帯のバッテリを使おうがどちらでも対応できます。

ヒータの抵抗値は温度で変わるはずなので,抵抗値を計測すれば温度がわかるはずです。精度次第ですが,この原理を使えば,追加で温度センサをつけなくとも,周囲の温度に左右されることなく,ヒータを設定温度にするように制御できそうです。

温度設定もボリュームとかで無段階にしたいですね。フルフェイスのヘルメットをつけていると,LEDで現示されるヒータの出力が確認できないので。

この電熱ウェア/グローブは電装系の物理的なつくりが微妙です。この分だと制御回路もいずれ物理的に壊れそうです。特に押しボタンがヤバそうです。そのときは自作で制御回路を作ってみようと思います。

まとめ

衣料品としては素晴らしいだけに実に惜しい製品です。でもユーザによる修理や改造の余地は多分に残されているので嫌いじゃないです。

  • 電熱ウェア,グローブとも衣料品としては素晴らしい品質。
  • ケーブルのシース(被覆)が脆すぎて,折れやねじれがあると心線が剥き出しに。(電気火災に用心!)
  • コネクタ類とケーブルの境界部が特に脆い。(自己融着テープで保護しておこう!)
  • 保証はきかなくなるけど自分で補修できる製品。

(おしまい)